Championship Manager 01/02 (CM01/02) 日本語ローカライズ裏話 (その1)

Football Managerの前身であるChampionship Managerにおける初の日本語版・CM01/02の日本語化作業にかかわったときの裏話。
昔のことだし、もう時効だと思うので、差し障りのない範囲で紹介することにする。


2002年2月、それは突然のメールで始まった。

差出人はイギリス人と思しき外国人で、「CMの日本語版を出したいから手伝ってくれ」という内容だった。「はぁ? 何で俺なの?」と一瞬思ったが、この人が連絡先を知っているのには、心当たりがあった。Sports InteractiveのCM開発担当者と以前メールでやりとりしたことがあった。おそらくそちらから連絡先を聞いたのだろうとすぐに想像がついた。

少し悩んだが、日本語版があればいいのにとは常々感じていたし、その立ち上げに関われるのは素晴らしいという思いから、引き受けることにした。ただし、
「本業があるのでフルタイムではできない。本業を優先して余った時間内でなら手伝う」
「翻訳が生業はないので、プルーフリーディング(校正)を行うプロの翻訳者を必ず用意してほしい」

という二つの条件を付けた。先方は条件を承諾し、今度日本に行くから顔合わせしようと言ってきた。


2002年3月、東京で対面。いかにもイギリス人っぽい、穏やかな雰囲気の中年男性だった。彼があるゲームパブリッシャーのオーナーだということも、そのとき初めて知った。この会社はWindowsのゲームソフトをMacintoshに移植して販売していることで知られている。CMのMac版もこの会社が出していたが、今回の日本語版はWindows用とのことだった。

共に翻訳作業をする他の人も一緒に集められ、打ち合わせを行った。日本語化の対象はCM3ベースのCM01/02で、これを日韓ワールドカップの開催時期に合わせて発売したいと説明された。って、あと3ヶ月もない。間に合うのか? そしてその場で、自分の担当はマニュアルの翻訳に決まった。用語の日本語訳をゲーム本体の翻訳担当者とすり合わせる必要はあったが、基本的には単独の作業であり、自分のペースで進められるので、これなら比較的楽かもしれないと思った。自分の作業の期限は1ヶ月。


ちなみに打ち合わせの後で飲みに行ったのだが、彼は子供のころからトッテナム・ホットスパーのファンで、「スティーブ・ペリマンを知ってるか? 元スパーズの選手で今は日本で監督をしている。どこのチームだっけ? そう、エスパルスだ。ペリマンは好きな選手だった!」などと話し出し、イングランドサッカーの話題でひとしきり盛り上がった。(後にロンドンを訪れた際に、忙しい中を観光案内してくれたり、泊めてくれたりして、とてもお世話になった)


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