Championship Manager 01/02 (CM01/02) 日本語ローカライズ裏話 (その2)

で、さっそくマニュアルの翻訳作業を始めたのだが、進めていくうちにある懸念が持ち上がった。

とにかく内容が不親切。CMに親しんでいるイギリスのファンなら問題ないかもしれないが、おそらく相当いると思われる日本の初心者ユーザには、初めに何をすればいいのかさえ解らないのでは?

イギリスには一応伝えたが、オリジナルに沿って翻訳しろとの指示だったので、従うことにした。日本語版のマニュアルが英語版のほぼ対訳になっているのは、こうした経緯による。私見だが、手間やコストを極力かけずに、とにかく日本語化を急ごうという考えだったのかもしれない。

実は、サッカーファンなら理解できるがそうでない人にはさっぱり、という表現が当初は随所にあったが、後のプルーフリーディングで、日本人には伝わりにくいという理由で削られている。


用語をゲーム本体に合わせなければならなかったのだが、自分のセンスとは相容れないものがあり、少なからず葛藤や対立があった。
そもそも本体側の担当者が日本語ユーザインターフェースのお約束を理解していないのだ。

例1: 対義語が対になっていない。「ロード」「保存」とか。
例2: ユーザ設定項目での連用形の多用。スライダーバーの設定が「速く」「遅く」とかになっている。なぜ連用形? 「速い」「遅い」の終止形が普通だろう。
例3: 不自然な訳語。「対戦予定」(Fixtures) → 試合日程、試合予定、日程、予定…、平易な表現は他にあると思うけど?


変えられるところは変えてもらい、譲るところは譲り、まあ後からでも直せるからということで、自分の担当分は予定通り1ヶ月で終えることができた。 後になってReadmeの翻訳も依頼されたが、量は多くなく問題はなかった。
ちなみにマニュアルの製本用レイアウトは日本のデザインスタジオで行った。後日、デザインの人と細部を詰めて完成したのが、パッケージに入っているマニュアルそのものである。


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