Championship Manager 01/02 (CM01/02) 日本語ローカライズ裏話 (その7)

時間がないので、日本人テスターのみなさんにもご協力いただいて、すべての翻訳の見直しを開始。本来の仕事ではない作業を快く引き受けてくれたテスターの皆さんには頭が下がった。そのほとんどは当時CM関連のファンサイトを運営していた人たちだ。いいものをつくろうという熱意が彼らから感じられた。

しばらくしてだいぶ形にはなってきたが、まだまだな感じ。
問題なのはどこで表示されるのかわからないものが多すぎる。今のように詳細なコメントがついているわけではなかったので、これは本当につらかった。
さらに、同じ単語を違う意味で使っている箇所が見受けられ、どう訳をつけていいのか頭を抱えてしまうこともあった。

そして、現在のようにすぐにゲーム上で表示を確認できるわけではなく、一度イギリスに送ってバイナリデータ化されたものをゲーム本体とともに受け取るまで、自分たちの作業の結果がわからなかった。この体制は正直どうにかしてほしかった。時間がかかってしようがない。


5月末、ワールドカップ開幕。試合中継を横目に見ながら作業を続ける。この時点でワールドカップに合わせてのリリースはもはや不可能。イギリス在住のプロの翻訳者(日本人)とデータのやりとりをしながらひたすらブラッシュアップ。

だが個人的にはなかなか納得いかなかった。ニュース記事がですます調なのがそもそも非常に気に入らなかったのだが、どこで表示されるかわからないものが多いので、文体を統一しておこうという事情でそうなった。当時の状況からすればその通りだし、したがうしかなかった。

あと、原文(英語)の人名やクラブ名などが入る変数が表れる順序を日本語でも合わせなければいけないというしばりがあった。こんな条件つけられちゃまともな日本語訳はとうていできない。とても信じられなかったが、案の定、後にこれはガセネタであることが発覚し、さらに翻訳を見直さなければならないはめに陥った。


ワールドカップはブラジルの優勝で幕を閉じ、翻訳作業も大詰めに近付いてきた。だが自分としてはまだまだ不自然な日本語が多すぎる気がしていた。結局我々の作業のデッドラインはいつなのか、発売日はいつになるのか、まったく知らされないまま終わりの見えない作業を続けた。とにかくイギリスと連絡が取れなくなった。メールに返事が来ないのだ。1ヶ月以上は音信不通になっていたと思う。
これならいいかな、というレベルになったときには7月に入ってだいぶたっていた。


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